no pat answer, no grapevine

一見正しそうなことや噂になんか流されない。

競争法,規制論

行動経済学は競争法上の問題解決に資するか?(3/3)

標準的ではない生産者の意思決定行動 前述のとおり,行動経済学は,企業が意思決定の標準モデルからどれほど乖離するかではなく,消費者が個人の意思決定モデルからどれほど乖離するかにまず焦点をあてる。行動経済学では,しばしば,標準モデルから消費者が…

行動経済学は競争法上の問題解決に資するか?(2/3)

「参照点基準」であり,「公平感」を取り入れた消費者選好 標準的な経済モデルでは,個人は純粋に自己利益的であり,自らが受け取る効用の絶対的水準にのみ関心を寄せると想定している。例えば,標準的な枠組みでは,以前に受け取った金額が0ドル(100ドルの…

行動経済学は競争法上の問題解決に資するか?(1/3)

はじめに 法律(あるいは規制)と行動経済学の関係は消費者保護の場面で語られることが多い。他方,法律と経済学という観点では,伝統的には会社法や競争法を中心に分析が進んでいる。では,競争法と行動経済学との関係はいかなるものか。 そこで,今回は,"…

電気通信分野における競争法・事業法の位置づけをめぐって

1.はじめに 規制緩和が声高に叫ばれて久しい。しかしながら,規制緩和賛成派一辺倒ではないということは周知のとおりである。安全や環境といった観点から,感情的に規制強化が叫ばれることもある。すべての市場に関して規制緩和可能か否かという問いに対す…