no pat answer, no grapevine

一見正しそうなことや噂になんか流されない。

果たしてテレワークは進んでいるのか?

 テレワークの推進が日本企業には求められています。しかしながら,2回目の緊急事態宣言下にあるというのに,通勤する姿がまったく消えたとはいえない状況にあります。いったい何が背景なのでしょうか。今回は,日本生産性本部という団体が「働く人の意識調査」という調査名でテレワークの実施状況に関する定点調査を行っている資料を発見したので,同調査の結果をもとに考察してみたいと思います。

 まず,テレワーク実施率の推移をみてみましょう(下図)。直近は1月12~13日にアンケートを実施したとのことで,2回目の緊急事態宣言を踏まえた動向になっているといえるでしょう。一目瞭然ですが緊急事態宣言を受けてテレワーク率が大きく上昇したということはなさそうです。むしろ1回目の緊急事態宣言よりも実施率は低下しています。通勤する姿が減らないのも頷けます。

テレワーク実施率

テレワーク実施率

 この調査結果をみる限り,テレワークが日本社会に定着したというには時期尚早でしょう。背景には,日本の企業文化などが影響しているのかもしれません。しかしながら,テレワークによる生産性向上が期待されるのもまた事実です。次のグラフをみてみましょう。

在宅勤務の効率性

在宅勤務の効率性

 このグラフは,在宅で勤務したことで効率が上がった人の割合から下がったと回答した人の割合を引いたもの(一種のDI)です。アンケート結果をもとにブログの筆者が作成してみました。これをみると,在宅勤務で効率が上がった人の割合が徐々に高まっていることがわかります。在宅勤務を続けている人々のなかでは,在宅勤務に慣れることで,仕事の効率が上がってきているという見方もできるのではないでしょうか。

 こうした生産性の向上が在宅勤務できる人が全員在宅勤務になったことでさらにもたらされるのかははっきりとしません。あるところで生産性が逓減する可能性も否定できません。とはいえ,少なくとも,長時間の通勤時間を仕事や家事あるいは副業に振り向けられることを考えただけでも,そのメリットは小さくないといえます。今の日本企業や社会には,生産性が最適になるポイントを見出していくことが求められているのではないでしょうか。